吉村君に初めて会ったのは90年代の後半だった。
当時、ブッチャーズとナイフはレコード会社が同じで、担当の人が雑誌で吉村君とわたしの対談を企画してくれた。詳しい内容は忘れたけど、音楽について話したように思う。対談とは言うものの、彼の話す内容は、わたしにとっては支離滅裂というかシュールというか超越しているというのか、はっきり言って全然意味がわからなかった。なかなか個性的な人やなぁ、この人とはどうやってコミュニケーションとったらいいのだろうか?!というのが初対面の印象。
だけどその後、一緒にライブする機会があってしゃべってみたら普通に会話ができたので、ちょっと安心した。それから、ブッチャーズとナイフは何度も共同で企画したライブをしたり、お互いのライブを見に行ったり見に来てもらったり、イベントでお会いしたり、さらには少年ナイフがブッチャーズの曲をリミックスしたり、ブッチャーズが少年ナイフの曲をカバーしてくれたり、という関係だった。
吉村君は我々のライブに来てくれた時は、缶チューハイを何本か持参して、飲みながら見ててくれていたなぁ。北海道のライジングサンフェスティバルに出た時は、バックステージのケータリングエリアには「チャンチャン焼き」が用意されていたのだが、焼き方がわからない私達に吉村君はてきぱきと鍋奉行してくれたっけ。それから、新代田のフィーバーでライブした時、サウンドチェックでわたしのギターの調子が悪くて、誰にも直せなかったときに、ちょちょいと修理してくれたこともあった。いやー、あの時はほんとに助かった!面倒見のいいやさしい人だった。
少年ナイフは「○○系」みたいな音楽のジャンルには属していないし、例えば同じ系列の仲良しバンドが集まってライブするとかいう機会はそれほど無い。そんな中で、ブッチャーズは一番仲よくしてくれているバンドじゃなかろうか。(もちろん、これからも仲よくしてほしい。)
まだ信じられないけど、吉村君が亡くなった今、彼との思い出を大切に、そして今、生きている自分は感謝の気持ちを持って、日々後悔のないように過ごしていきたいと思う。
吉村君ありがとう。
2013年5月27日に心不全で急逝されたbloodthirsty butchersの吉村君に思いを寄せて。